コロナ禍を経て、若者たちの「つながり」の形はどう変わったのか。これからの時代に匿名クラブが果たすべき役割は何なのか。
特集「匿名クラブ・ウィズコロナ」では、毎週金曜・全4回にわたり、コロナ禍のもとでの匿名クラブの取り組みに迫る。(第二回。編集部の都合で土曜公開です)
第一回:Coyu.Live「コロナ見舞・支援金」所属ライバーの危機救う
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止のため、国は3月2日からの全国一斉臨時休校を要請した。5月25日の緊急事態宣言解除により休校措置が解除されるまでの約3ヶ月間、思春期を過ごす学生たちはその日常を奪われた。
小・中・高校では感染防止策を講じながら授業を再開したが、人の集まる大学の多くではいまだにオンライン講義が中心で、学生は授業やサークルなどの「居場所」を失ったままだ。
そうしたコロナ禍のもとで誕生、勢力を拡大したのが、匿名クラブ「ワサラー団」ブランドが立ち上げた学生対象ネットコミュニティ「ワサラー団ひま部」(ひま部)だ。大型連休後の5月7日に設立されて以降、わずか2ヶ月で会員数は600人を突破。6月には名称を団体名と同じ「匿名クラブ」に変更し、まもなく1,000会員にまで迫ろうとしている。
ひまな学生の居場所に
東京都内の男子学生・B氏(仮名)は、5月中旬に「ひま部」に入会した。春休みはクラブ活動に打ち込む予定だったが、臨時休校により課外活動も禁止に。「三密」の避けられないクラブだったため、再開を前に引退を余儀なくされた。ネット上では以前からSNSアカウントを持っており、自宅待機を機に利用時間が増えたと話す。
自宅待機期間の当初は学校の友人とLINEを交わす機会もあったB氏だが、自粛が続くと話す内容もなくなり次第に友人とは疎遠になったという。暇つぶしに使っていたSNSで「ひま部」の存在を知り、加入した。
「ひま部」=現「匿名クラブ」はソーシャルプラットフォーム「Discord」上に開設されたサーバー。複数ジャンルの「チャンネル」(チャットルーム)に分かれているため、同じテーマの会話で意気投合するユーザーも多い。B氏も「匿名クラブ」サーバー内の会員とは「趣味が合う」と満足げだった。
Twitterから逃れるユーザーも
以前からワサラー団の団員だった学生のC氏(仮名)はTwitter上で活動していたが、現在は主に「匿名クラブ」サーバーを利用している。Twitterでワサラー団を敵視するユーザーによる攻撃や誹謗中傷を受け、危険を感じたためだという。
「匿名クラブ」サーバーを管理するのはワサラー団役員を中心とした14名のユーザー。言動には寛容な運用方針だが、役員やグループ全体への迷惑行為には毅然とした対応をとっている。ユーザー間でのトラブルはSNSにはつきものだが、大きな問題はこれまで起こっていない。「喧嘩は全く起きない。困ったことがあっても気軽に相談できるのがいい」と評判は上々だ。
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