Wi-Fi自動接続アプリ「タウンWiFi byGMO」を運営するGMOタウンWiFi株式会社(東京・港)は22日、SNSでの誹謗中傷対策サービス「SNS Peace byGMO」(sns-peace.com)をリリースした。
同サービスは、登録したユーザーのアカウントに送られたリプライ(返信)やダイレクトメッセージを解析し、不適切な投稿を非表示にした上で送信主をミュートする仕組み。さらに、より悪質であるとスタッフが判断したユーザーは自動でブロックするという。
同社が6月に発表した資料によると、今後、同サービスが不適切と判断した投稿を同社のサーバー上で永年保存し、裁判などでの証拠資料として提出できるようにすることも検討している。
利用料金は月額4,980円(税抜)。当面の間はTwitterのみの対応となる。
自動ミュート、本質的解決なるか
「SNSにもっと平和を」をキャッチコピーとするSNS Peaceだが、実際に誹謗中傷に対して効果的かどうかは疑問が残る。
不適切投稿の非表示は、ユーザー側の心理的負担の軽減に一定の効果が見込まれるものの、当事者以外からは問題投稿も引き続き表示され、本質的解決には繋がらないことが懸念される。同社は当初、寄せられた誹謗中傷の投稿をレポート化して登録ユーザーに提供することを予定していたが、このほどリリースされたプランには含まれていない。登録ユーザー本人だけが自身への攻撃を認識できない事態にもなりかねず、本人が知らない間に個人情報が流出・拡散されたり、中傷の度合いが増したりする危険性がある。
税込で5,000円を超える月額利用料も普及への課題だ。誹謗中傷のリスクに晒されるインフルエンサーなどからの需要を見込むが、無料で利用できるSNSへの課金額としては高額の部類に入る。人力での対応や今後のサービス展開に、利用価格への評価は左右される。
誹謗中傷は社会問題 提供者・利用者が団結して対策を
SNSにおける誹謗中傷は昨今、重大な社会問題となっている。著名人やインフルエンサーがインターネット上の誹謗中傷を苦に自殺したとされる報道や、ネットでの言動がきっかけで殺害された事件などが知られるようになり、SNS運営会社も対策に迫られている。
この流れを受けて、SNSユーザー側も自衛・自制に迫られている。ネットユーザー団体の匿名クラブ(東京・板橋)は近く「ソーシャルメディア利用者団体連合会」準備会を設立する計画で、ユーザー目線での対策を講じようとしている。
SNS Peaceはユーザー側の自衛策の主流となり得るか。同社はTwitter(@peace_sns)上で求人を募集している。幅広いSNSユーザーの声を反映させることができるかが課題となりそうだ。
■SNSをもっと平和に「SNS Peace」 https://sns-peace.com/