はじめての職場で複雑な心境に揺れる新入社員。
そして、最初に任される役割の一つが「議事録の作成」という職場は多いのではないでしょうか。
しかし、上司や先輩から「議事録を書いておいて」と一言指示されるだけで、具体的な書き方まで教えてもらえないことも少なくありません。
そんなあなたが頑張って一言一句発言を記録しても、
それは「速記録」であって「議事録」ではない
のように上司から指摘された経験はありませんか?
単純な「速記」「記録」と、整った「議事録」。
その違いを理解することで、より効果的な議事録を書けるようになっていきます。
今回は、「議事録」の書き方について解説していきます。
なお、実際の様式や必要事項については、業界や企業によって異なる部分が多いと思われますので、この記事を参考に、具体的な部分は過去の社内記録や、先輩のアドバイスなどを参考にしましょう!
速記録と議事録の違い
速記録は、文字通り「速く書いた記録」です。
すなわち、会議中の発言者と発言の要旨を順番にまとめただけの文章です。
一方、議事録は「議事」つまり会議の経過や内容を「記録」したもので、発言だけでなく議題、決定事項、行動計画等も含みます。
速記録が個々の発言を中心とするなら、議事録は全体の流れと結論を中心とします。
議事録の書き方
まずは、議事録を書くために必要な要素を理解しましょう。
- 日付・場所・出席者:いつ、どこで、誰が会議に参加したかを記録します。
- 議題:話し合った内容、つまり議題を明記します。これは会議の目的を理解するために重要です。
- 討議内容:発言者の意見、質問、回答等を簡潔にまとめます。一言一句を記録するのではなく、各議題についての結論や主要な視点を捉えることが重要です。
- 決定事項:会議で何が決まったか、決定事項を明記します。これが議事録の最も重要な部分であり、後で参照されることが多いです。
- 次回の行動計画:次の会議や行動計画について記録します。具体的な期限や責任者も明記します。
実際の速記録と議事録の違いを見てみよう
会議の記録にどのような違いがあるかを理解するために、一緒に具体的な例を見てみましょう。以下のシナリオでは、社内のプロジェクトチームが週次の進行状況を報告する会議を行っているとします。
実際の発言:
山田課長:それでは、会議を始めます。今回のテーマは、プロジェクトの進捗状況と人手不足問題の対策についてです。まずは私から進捗状況の報告をします。現時点で、全体的には順調に進んでいます。ただ、先週の目標を全て達成することができませんでした。
佐藤:先週の目標未達成について私から補足します。皆様ご承知のとおり、先だっての人事異動で当支社は2名減員となっております。このため、目標対比で人手不足が顕著となっており、それが達成できなかった一因だと考えています。
山田課長:本当にしんどかったよね。
佐藤:二日も帰れずに仕事したのは初めてですよ(笑い)。
鈴木:同感です。それについて私から一つ提案があります。当支社としての人手不足を解消するために、新たに採用活動を行うのはどうでしょうか。
山田課長:そうですね、鈴木の言うとおり、支社として採用活動に取り組むことにしたいと思います。それでは、新採用計画の詳細を来週までに私がまとめますので、それを次回の会議で共有しましょう。皆さん、それで良いですか?
佐藤&鈴木:はい、それで大丈夫です。
山田課長:それでは、今日の会議はこれで終わりにしましょう。皆さん、お疲れ様でした。
速記録の例:
Aプロジェクト進捗会議 2023年7月10日
〇〇支社総合企画課 佐藤
10:00開始
出席者:山田課長、佐藤、鈴木山田課長 今回のテーマ、Aプロジェクトの進捗状況と人手不足対策
現時点では順調に推移、先週目標は未達佐藤 未達理由、人手不足?
…人事異動で2名減員山田課長 本当にしんどかった
佐藤 二日帰らずに働いた鈴木 人手不足を補うために支社としての新規採用が必要
山田課長 来週までに新採用計画 詳細まとめる
10:30 全員賛成し終了
議事録の例:
- 主題:Aプロジェクトの進捗状況と人手不足問題の対策
- 日時:10:00-10:30
- 作成者:〇〇支社総合企画課 佐藤
- 出席者:
山田課長、佐藤、鈴木- 討議内容:
- 山田課長からのプロジェクト全体の進捗状況の報告。全体的には順調であるとのこと。
- 佐藤より先週の目標未達成の理由として人手不足がある旨報告。この問題はプロジェクト全体に影響を及ぼしている。
- 鈴木担当から、人手不足を解消するための支社としての新採用計画の提案。
- 決定事項:新採用計画の詳細を来週までに山田課長がまとめる。全員がこれに賛成。
- 次回の行動計画:山田課長より、新採用計画の詳細をまとめて次回の会議で報告予定。
このように、速記録は発言者と発言内容を中心に書かれています。一方、議事録は会議全体の流れと重要な結論に焦点を当てています。これにより、後で参照した時にも会議の全体像を理解しやすくなっています。
速記をもとに議事録を書くときに注意すること
速記をもとに議事録を作成する際には、速記録があくまで資料であることを理解しておくことが重要です。速記録は全ての発言を記録していますが、議事録は重要なポイントや決定事項を抽出して記録します。
そのため、速記録から議事録を作成する際には、「この発言は議事録に必要か?」と自問自答しながら作業を進めましょう。
全ての情報が等しく重要なわけではないので、必要な情報を選択して整理することが求められます。
おわりに
入社したばかりの新社会人が抱える「議事録作成」の悩みは、速記録と議事録の違いを理解することで解消できます。
ぜひ、今回紹介したポイントを活用して、効果的な議事録作成に取り組んでみてください!